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パーソンセンタード・アプローチについて

パーソンセンタード・アプローチ

「さくぶん・おーあーるじー」は、その中心である作文交換活動をはじめとして、プロジェクト運営の様々な面で、「エンカウンター・グループ」あるいは、それを含む上位概念である「パーソンセンタード・アプローチ」の考え方に精神的な影響を受けながら歩んできました。今後も、「パーソンセンタード・アプローチ」の考え方をメタルールとして運営していきたいと考えています。

「メタルール」としたのは、「一般参加者に対して声高に主張するものではないが、プロジェクト運営のルールを考えるにあたってのルールとする」という意味からです。「パーソンセンタード・アプローチ」自体が、さまざまな考え方の人を受け入れながら進むという意味を内包しているので、もちろん、多様な考え方を持った方の参加を歓迎します。しかし、そのこと自体が「パーソンセンタード・アプローチ」なのだということは、理解しておいて頂きたいと考えています。以下、「パーソンセンタード・アプローチ」について書かれているものを紹介します。説明だけを読むと理解しづらいと思われるかもしれませんが、ポイントは、人間個人の成長に向かう力への信頼、グループや組織の健全な方向に向かう力への信頼です。あくまでも「信頼」ですので、どの局面においてもそれが実現されているとはいえないわけですが、長期的に見ればあるべき方向に向かっているという見方をします。

詳しく知りたい方は、原典にあたって見て下さい。

(1)「パーソンセンタード・アプローチ」の定義(伊藤義美、増田実、野島一彦編『パーソンセンタード・アプローチ 21世紀の人間関係を拓く』1999年、ナカニシヤ出版より)

 パーソンセンタード・アプローチ(person-centered approach, 以下PCAと略記する)は、それぞれの個人およびそれの他者とのかかわりなどに関し、その成長・発展(治療も含む)への可能性を信じ、これをベース(基本的な哲学あるいは信念)にしてすすめるさまざまな自立的・援助的活動の総称である、と言えよう。カール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers, 1902.1.8.-1987.2.4)は、1970年代後半以降、このことばを好んで使っており、そこには、かれがそれまですすめてきたカウンセリングやエンカウンター・グループなどを含む、個人の自立への援助および人間関係改善などへのそれに関する多くのアプローチが包含されている。(p.3)

(2) 「パーソンセンタード・アプローチ」のよって立つ2つの仮説 人間観と人間関係(グループ・組織)観(佐治守夫・飯長喜一郎編『クライエント中心療法』(有斐閣新書)有斐閣、1983年より)

 このような中心的仮説が出てくる基盤となるロジャーズの基本的理念、人間観、世界観は、どのようなものだろうか。それは、有機体の特徴である「実現傾向」と、宇宙全体における「形成傾向」という、相互に関連する二つの傾向である。
1)「実現傾向」:ロジャーズは、人間存在を、そして全ての有機体を、基本的に信頼している。かれは暗いへやの中でわずかな光に向かって伸びるじゃがいもの芽の例を好んで挙げる。全ての有機体には、その生来の可能性を建設的な方向に成就しようとする基本的傾向があるので、人間にも、複雑で完全な発達に向かう自然な傾向がある。
2)形成傾向(指向傾向ともいう):宇宙のあらゆるレベル(微生物、人間、結晶、星の宇宙など)において、よりいっそうの秩序、相互関連への向かう傾向がみられる。人間では、全体性、統合、統一された人生の方向へ動いていく傾向としてあらわれる。グループについてみても、それ自体が1つの有機体のようであり、それ自身の発展の方向をもっているようである。グループには、より健康な方向への向かう「グループの知恵」があると感じられる。(p155~156)

(3)「パーソンセンタード・アプローチ」の活動例:福岡人間関係研究会(村山正治『エンカウンターグループとコミュニティ パーソンセンタードアプローチの展開』ナカニシヤ出版、1993年より)

 われわれは、もともと統一された計画のもと一糸乱れぬ統制のもとに会が運営されることを望んでいない。スタッフ各自が最大限の自由さを保持しながら、かつ、全体としてまとまりをもつようにすることである。これにはオーガナイザーの哲学が必要である。(p.120)

 固定したリーダーをおかない:福人研が20年間活発に生き続けてきた要因のひとつに、固定したリーダー(たとえば会長など)をおかないできた、いわばゲリラ型の組織であることがある。けっしてリーダーがいないわけではなく、リーダーが多様で複数であることを意味している。(現在は村山正治氏が代表となっている=得丸注)(p.140)

 関心のある人が企画し、興味のある人が参加する:これをわれわれは「この指とまれ運動」とも呼んでいる。強制的にひとつの企画に参加する必要はない。義務としての参加ではない。ある決定に際して全員一致は必要でなく、興味のある人が率先してやり、他の人たちはまた別のことをやればよいのである。(p.141)

 固定したリーダーをおかない:福人研が20年間活発に生き続けてきた要因のひとつに、固定したリーダー(たとえば会長など)をおかないできた、いわばゲリラ型の組織であることがある。けっしてリーダーがいないわけではなく、リーダーが多様で複数であることを意味している。(現在は村山正治氏が代表となっている=得丸注)(p.140)

 関心のある人が企画し、興味のある人が参加する:これをわれわれは「この指とまれ運動」とも呼んでいる。強制的にひとつの企画に参加する必要はない。義務としての参加ではない。ある決定に際して全員一致は必要でなく、興味のある人が率先してやり、他の人たちはまた別のことをやればよいのである。(p.141)

参考文献はこの他にも数多くあります。

(4) 参考サイト

人間関係研究会
http://www.encounter-group.org/

日本人間性心理学会 
http://www.jahp.org/

アメリカ人間性心理学会
http://www.ahpweb.org/

 

以上

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