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オンライン辞書,Dictionary


No.338
作文
2020年6月3日
出身: ドイツ
居住: 日本
20代 女性
ログイン名: ミンミン
タイトル:ドイツ人に敬語が失礼に聞こえるとき
  ドイツ語の敬語は非常にシンプルだとよく言われます。なぜなら、相手の人称代名詞を変えるだけで、大体敬語が成り立つからです。英語と比較すると分かりやすいかと思いますが、英語の「You」にあたる語が、ドイツ語では「Duと「Sie」の2パターンあり、「Du」が日本語で言うタメ口で、「Sie」が敬語です。この違いだけで、タメ口で話しかけられているか、敬語かが分かります。これは一見非常に便利に見えますが、一つ複雑な面があると私は思います。

それは、ドイツ人の中には敬語で話しかけられることを失礼だと思う人がいることです。
なぜなら、ドイツの文化では、敬語を使うことは、相手に心を開いていない、距離を縮ませるつもりはないと捉えられることがあるからです。そのため日本と違い、会社の同僚同士や友達の両親など、今後長い付き合いになりそうな相手に対しては、上下関係なく、通常タメ口を使います。この、相手によってことばづかいを使い分けるところが、私は複雑に感じるときがあります。例えば日本語の場合、初対面の相手や目上の人に対しては必ず敬語を使うので、使い分けに関して深く考える必要はありませんが、ドイツ語で話すときは一瞬、「今敬語を使ったら失礼だと思われないか」と戸惑うときがあります。特に、私が昔アルバイトしていたカフェでは様々な常連客がいたため、お客さんの人相や性格に合わせて敬語とタメ口を使い分けていました。一応、私の中では年上に見えるお客さんに対しては敬意を込めたつもりでドイツ語の「Sie」を使うようにしていましたが、中にはお客さんに「そこまで年取ってないわよ!」と怒られることもありました。

ドイツ語には日本語のように何種類もの敬語を使い分ける必要はありませんが、相手にとって失礼のないように、自分で判断しながら敬語を使い分ける困難さに悩まされます。一方、使い分けに決まりのある日本の敬語は一見複雑そうで、非常に便利だなと思います。
 
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