選択した文章の本文です。

オンライン辞書,Dictionary


No.40
作文
2020-04-25
出身: オーストラリア
居住: オーストラリア
10代 女性
ログイン名: トレイシー
タイトル:初対面の呼びかけに悩む時
  日本語の学習者として母語話者と話す経験は必要不可欠だと思う。しかし、初対面に際して、度々相手に向けた呼びかけを納得できなかった。日本語を勉強している8年間、実際に使う呼びかけは教科書から学んだ呼びかけと意外に異なっていると気付いた。特に、二つの場合について話したいと思う。

まず、オーストラリアは大らかな国なので、人の年齢、背景、社会地位などに関わらず日常に名前だけでお互いに交流している。そのため、日本の従来の厳しい上下関係と全く合わないので明確な文化の差が目につく。数年前、ある同い年の日本人の友人と初めて会った時、私は丁寧語を使い、名字と敬称と共につけて呼びかけたが、「名前だけで呼べばいいよ」という返事だった。しかし、相手は非常に異なった環境に育ったので、名前だけで呼べばある程度まで違和感を感じたはずだ。

二つ目の場合は年配の日本人と初めて会った時だ。私は高校一年生の時二週間ほど横浜に留学した経験がある。言葉遣いは人の印象を決定づける重要な要素であり、礼儀正しい印象を残すため、ホーストファミリーに「お母さん」「お父さん」と呼びかけるつもりだったが、意外にも遠慮せず「ママ」と「パパ」で呼んで欲しいって言われた。後者の方が確かに親切で、距離感も縮められるが、私は慣れていないままこの呼びかけに従った。ところが、日本語の特徴のおかげで、実際に多くの場合に呼びかけも二人称代名詞も使わず日常会話が自然に流れたようだ。むしろ、もし「お母さん」と呼んだら、わざと距離感を置いていると思われて、相手は気配りをしてくれたのにその気持ちを傷つけるかもしれないだろう。この貴重な経験を通して、親しみと尊敬のバランスを考えて相手の感情も意識しながら言葉を使うのが大事だと悟った。

このように、人の気持ちを汲み取るのは奥の深いことだが、相手との関係に応じた一番相応しい言葉遣いをする限りもっと人と話す経験が増え、人脈も視野も広げられるのではないかと思う。
 
【コメントを書く】