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私が言葉遣いに困ったのは高校でアルバイトをしていた時だ。私は中高と運動部に所属しており、当時は敬語や丁寧語で話すことに自信があった。だが早々にその天狗の鼻はへし折られることとなる。はじめてのアルバイトは飲食店の接客だった。他の店員の足を引っ張ってしまうことは想定内だったが、接客の手順から提供など、あらゆることを一度に詰められ、それで頭がいっぱいになると、自信のあったはずの敬語すら出てこなくなった。その時、私は敬語を意識して喋ることができるだけで、体に染みついたものでないことを痛感させられた。
だが、そこでは終わらない。始めてから一年ほどが経ち、アルバイトにも慣れ、接客もこなせるようになった時、系列店への異動となった。また一からのスタートだったが、系列店ということもあり何とかなるだろうと考えていた。ところが結果は一年前と変わらず、慣れるまでてんで話すことができなかった。結局は元の勤め先で接客ができていたのも業務内容に慣れ、敬語を話すことに意識を割けるようになっただけのことだったのだ。
この経験から私には敬語で話す場面に強い苦手意識が残っている。克服したいとは思っていたが、そんな言葉づかいをする場面は限られているし、基本的に練習ができるような場面ではない。だが、社会にでれば、敬語を話すことなど最低限のマナーとなる。他のことで頭がいっぱいだからと到底逃げられるものではない。それが遠い未来の話でないことを自覚し、今のうちに克服しなければならない。
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