選択した文章の本文です。

オンライン辞書,Dictionary


No.36
作文
2022-04-25
出身: 日本語
居住: 日本
 
ログイン名: とら
タイトル:言葉遣いに困った経験
   私は田舎の出身であり、小学校や中学校の帰り道などですれ違うおじいさんやおばあさんには「こんにちは」と挨拶をするのが普通でした。どのおじいさん、おばあさんもあいさつを返してくれるのですが、こちらの「こんにちは」に対して、「おかえり」と返してくれる人が多かったです。当時の幼かった私はこれについてどのような返事をするのが良いのかわかりませんでした。
 「おかえり」という言葉は、家族など、同じコミュニティに属する人が帰還した場合に使うことが一般的だと思います。そして「おかえり」には「ただいま」と返すものでしょう。しかし帰宅途中にすれ違う人たちはもちろん家族ではなく、なんなら名前も知らない、いわば『下校途中に挨拶を交わす人』でしかないのです。当時の私は照れくささもあったのか、その人たちに「ただいま」と返すことはできませんでした。そもそもその人たちはなぜ私たちに対して「おかえり」という言葉をかけるのか。その真相は彼らにしかわかりませんが、今少し大人に近づいた自分ならばその人たちの気持ちがわかるような気がしています。
 きっとその人たちは私たちのこと地元や地区といった大きなコミュニティの一員として「おかえり」という言葉をかけてくれていたのではないのかなと思います。おおきくなった自分からすれば小さな子どもは自分の子でなくてもかわいらしく思いますし、ましてや田舎の小さなコミュニティのなかの子どもたちだったので、より大切な存在として思ってくれていたのではないかとおもいます。当時「おかえり」という言葉に「ただいま」と恥ずかしがらずに返すことができていれば良かったなと今になって思いました。

 
【コメントを書く】