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オンライン辞書,Dictionary


No.18
作文
2023-04-17
出身: オーストラリア
居住: オーストラリア
10代 女性
ログイン名: すずめ
タイトル:言葉遣いという呪い
  言葉遣いではあまり困ったことはない。「ハーフ」だからだ。自分で悩むことはよくあるが、周りの純日本人は問題ないかのように接してくれる。時々褒めてもくれる。本当のことは決して言わない。だから言葉遣いがおかしくても何も言ってくれないのだ。それが言葉遣いが持つ呪いだ。言葉遣いは自分の立場を周りの人に伝えながら話すこと。言い方や語彙の選択で相手に対しての評価を与える。この人は自分より上の立場だ、尊敬語を使わないと…でも、こんなに単純ではない。日本の社会と深く関係する言葉遣い、この社会では日本語を頑張って習っている外国人には間違えを伝えないほうがいいと一般的には考えられているのだろう。「日本語上手だね」「すごいね」、日本人と話すとよく聞くこの言葉。それしか聞かないのだ。親戚でも初対面の人でも私の間違えを教えてくれないのだ。私は言葉が何かおかしいと自覚はしているのに。相手を困らせたくないという日本人の考えが根底にあるのだろう。相手が外国人だと特にそうだ。悪く思わせるのはダメだ。ハーフの子はハーフ外国人だ。私ほどの日本語が話せる外国人は滅多にいないとよく言われる。滅多にいないから日本語の勉強を諦めさせるようなことは相手が言えないのだ。言わないのだ。だから私は聞かないのだ。日本人からは本心を聞いたことがないのだ。言葉遣いというベールに包まれた日本人の言葉。一生対面では日本人からの私に対する本音は聞けないだろう。だから私の言葉遣いはこのまま変わらないのかもしれない、日本人と話している限り。間違えを伝えられない日本人。私は決して日本人を責めているわけではないのだ。日本人ではなくて、日本語の言葉遣いが持つ呪いを責めているのだ。そして私は困っている。
 
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