選択した文章の本文です。

オンライン辞書,Dictionary


No.84
作文
2023-04-19
出身: 日本
居住: 日本
10代 男性
ログイン名: ねむい
タイトル:「〜かねます」の難しさ
  私は1年半ほど前からコンビニでバイトをしている。
コンビニエンスストアは地域の様々な年代の人と関わり、時には常連のお婆さんから名前を覚えてもらうほど人との関わりが多い。
しかし、多くの人と関わるためトラブルも稀ではない。
この前、私が勤務している最中に1本の電話が入った。
「近くに住んでいて、その場で買いたい商品を伝えて現金を渡すから商品を家まで持ってきて欲しい」との事だった。
声質で予想するに年寄りの方だった。
何とも、足腰が悪いから歩いて行って持ち帰るのは大変なのだそうだ。
しかし、私が勤務しているコンビニでは、そういうサービスは行っていないので、私は「申し訳ないですがそのようなことはできかねます」と伝えた。
語頭に「申し訳ない」と付けたので、「できない」という意味で捉えて欲しかったが、そのお年寄りの方は、「できかねます」の方に引っ張られ、更にはその意味を「できる」という意味に捉えてしまったようだった。
お年寄りの方は「ありがとうございます」と言って電話を切ってしまったので、私は若干違和感を感じつつも勤務を続けた。
そして数十分たった頃だろうか、また1本の電話が入り、出るとまたそのお年寄りの方だった。
「まだ来ないじゃないか」と、言うので、私が「先程そのようなサービスは行ってないと仰いましたが?」と言うと「できかねると言ったじゃないか」とお年寄りの方は続けた。私は全てを察し、「できかねるというのは行いたいけど行えないという意味なんです」と言うとお年寄りの方は「あぁ、そういう意味だったのか、勘違いしてた、申し訳ない」と言った。納得されたようなので事は無事に収束したが、改めて考えると「できかねる」というのはなかなか知識がないと意味の断定が難しい言葉だなと感じた。私が初めて「できかねる」という言葉を聞いた時も、「できる」を丁寧に言うとそういう言葉になるのかな?と勘違いしたのを思い出した。
日本語には尊敬語、謙譲語、丁寧語など、敬語にも3種類存在する。
使う時には意識せずに使えたとしても、いざ使われる方になると言葉の意味だったりが分かりづらくなることもあるのだろう。
そんな日本の敬語文化に難しさを抱く出来事だった。
 
【コメントを書く】